お盆を迎えて

お盆は身内の皆さんが集まり、ご先祖さまに思いを馳せ、いのちの繋がりを確認するときです。
一口にご先祖といいますが、その数は無数です。自分が存在するためには2人の親、2人の親が存在するには4人の親、こう考えると自分の存在は、何百人、何千人、何万人のご先祖が「いのち」を繋いでくれたお蔭なのです。そのご先祖の一人でもいなかったり、幼いころに亡くなっていたりしたら、現在の自分はこの世に存在しません。
このいのちの繋がりを考えるとき、文字通り「有り難い」繋がりだと思うのです。子どもや孫など近親者が一堂に集まるお盆の時期こそ、いのちの繋がりをしっかり感じるときでしょう。

そして、もう一つ、お盆の行事には、私たちが今を生きていく上で大切なことが示されています。それは、慈しみの心をもって生きるということです。お盆の法要では『甘露門』というお経をお称えし、各家のご先祖はもちろん、三界萬霊(あらゆる精霊)を回向します。「甘露」とは、諸天の不老不死を得る天酒のことで、転じて、不生不滅の理想郷である涅槃やお悟りを意味します。このお経は、仏さまの教えを聞き、永遠の涅槃への世界へ導くことを願いにしています。
つまり、お盆はご先祖さまへの孝養心に気づくとともに、自分のご先祖さまだけでなく、おおらかな広い心で全ての精霊に供養する、慈悲の真心を思い起こさせる行事なのです。
お盆の最高のご供養は、親やご先祖に今の自分の生きざまを見ていただくことです。また、今の自分が亡き方々の願いにかなっているか、見つめ直すことがお盆の意義です。お盆には、遠いところからはるばるご先祖さまが帰ってこられます。ご先祖が喜ぶ楽しく心温かいお盆を過ごしていただきたいと思います。

興雲寺20世住職 高木一晃 合掌