お盆を迎えて

お盆は身内の皆さんが集まり、ご先祖さまに思いを馳せ、いのちの繋がりを確認するときです。
一口にご先祖といいますが、その数は無数です。自分が存在するためには2人の親、2人の親が存在するには4人の親、こう考えると自分の存在は、何百人、何千人、何万人のご先祖が「いのち」を繋いでくれたお蔭なのです。そのご先祖の一人でもいなかったり、幼いころに亡くなっていたりしたら、現在の自分はこの世に存在しません。
このいのちの繋がりを考えるとき、文字通り「有り難い」繋がりだと思うのです。子どもや孫など近親者が一堂に集まるお盆の時期こそ、いのちの繋がりをしっかり感じるときでしょう。

そして、もう一つ、お盆の行事には、私たちが今を生きていく上で大切なことが示されています。それは、慈しみの心をもって生きるということです。お盆の法要では『甘露門』というお経をお称えし、各家のご先祖はもちろん、三界萬霊(あらゆる精霊)を回向します。「甘露」とは、諸天の不老不死を得る天酒のことで、転じて、不生不滅の理想郷である涅槃やお悟りを意味します。このお経は、仏さまの教えを聞き、永遠の涅槃への世界へ導くことを願いにしています。
つまり、お盆はご先祖さまへの孝養心に気づくとともに、自分のご先祖さまだけでなく、おおらかな広い心で全ての精霊に供養する、慈悲の真心を思い起こさせる行事なのです。
お盆の最高のご供養は、親やご先祖に今の自分の生きざまを見ていただくことです。また、今の自分が亡き方々の願いにかなっているか、見つめ直すことがお盆の意義です。お盆には、遠いところからはるばるご先祖さまが帰ってこられます。ご先祖が喜ぶ楽しく心温かいお盆を過ごしていただきたいと思います。

興雲寺20世住職 高木一晃 合掌

 

新年のご挨拶

謹んで平成29年の初春をお祝い申し上げ、皆様のご多祥を心よりお祈りいたします。

私が当寺の住職に就任して、10度目の新年を迎えました。佐伯逸雄老師より由緒ある当寺住職を任され、大過なく任を全うできましたことは、檀信徒の皆様をはじめ、多くの方々のご支援ご協力によりますものと、衷心より感謝申し上げます。
振り返りますと、前半は晋山結制法要(平成23年11月)に関する慶祝事業が中心となりました。準備委員会を経て、推進委員会を設立し、約3年をかけて計画的に事業を進めてまいりました。約6千500万円の大事業が円滑に行われたのは、推進委員さんや檀信徒の皆様のご協力はもちろんですが、特に役員さんのご尽力の賜物です。この事業により寺檀の深い信頼関係が構築され、現在の寺院運営に活かされています。
晋山慶祝事業と重なる時期に、全国曹洞宗青年会の副会長に抜擢されました。3千500人余りの青年僧侶が属する全国組織を取りまとめることは容易ではありませんが、基幹事業として電話相談など傾聴研修を全国で実践してきました。そして、大幅な組織改編を行い、緊急時における災害復興支援部を新設しました。その傾聴研修や全国的な組織作りが、任期満了間際に襲ってきた東日本大震災の対応や支援活動に生かされました。
今年は大震災犠牲者の七回忌の年です。当寺の支援活動を振り返り、今号で特集しております。皆様のご厚情に感謝申し上げますと共に、引き続きご協力をお願いいたします。
現在は、教区長(東予地域の曹洞宗寺院の代表)や小学校PTA会長を務めるなど、地元の活動が主になっております。そして、晋山慶祝事業や全曹青などで培った経験を活かし、人が集い信頼される寺院づくりにまい進していく所存です。
末筆ながら、10年間ご支援ご協力いただいたことへの心からのお礼と、変わらぬご厚情をお願い申し上げますと共に、皆様にとりまして、本年が大きく羽ばたく飛躍の年であることをお祈り申し上げ、新年のご挨拶といたします。

興雲寺20世住職 高木一晃 合掌